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Wikipediaの記事作成代行や編集代行について調べていると、少し複雑な気持ちになることがあります。
インターネット上には、Wikipediaの記事作成、修正、更新、さらには投稿までを有料で代行するサービスが実際に存在しています。
ココナラなどを見ても、Wikipediaの記事作成や編集を扱うサービスは複数確認できます。中には二桁以上の販売実績を持つサービスや、Wikipediaへの投稿代行そのものを有料オプションとして提供しているサービスもあります。
ここで私が考えてしまうのが、
検索で見られる受け皿を、サイト側に作る
「こうした有償案件では、Wikipediaが求めている有償編集の開示は、実際どこまで行われているのだろうか」
ということです。
もちろん、私は個々の出品者のWikipediaアカウントや全編集履歴まで調査したわけではありません。
したがって、
「このサービスは有償であることを隠して編集している」
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と個別に断定するつもりはありません。
販売実績の数字がそのままWikipediaへの投稿件数を意味するわけでもありません。原稿だけを作成して依頼者へ納品している案件もあり得ます。
しかし一方で、実際のWikipediaへの投稿や編集まで有料で代行するサービスが存在している以上、
「有償編集の開示は現実にどの程度守られているのか」
という疑問を持つこと自体は、ごく自然なことだと思っています。
Wikipediaは「有償編集は禁止」としているわけではない
まず、ここは誤解しないように整理しておきたいところです。
ウィキメディア財団(Wikimedia Foundation)の利用規約(Terms of Use)は、有償でWikipediaへ寄稿すること自体を一律に禁止しているわけではありません。
その代わり、報酬を受ける、または受ける予定の寄稿について、
雇用主、
顧客、
意図する受益者、
所属・関係
を開示するよう求めています。
その開示は、利用者ページ、該当するトークページ、または編集要約の少なくともいずれかで行うことになっています。
ウィキメディア財団の公式FAQも非常に明確です。
報酬を受けて編集するのであれば、その事実と関係を開示する必要があると説明されています。
つまり、
「お金をもらったことを隠したまま、普通の第三者のように見せて編集する」
ということを認めている制度ではありません。
実は外部の「Wikipedia編集代行サービス」にもルールがある
さらに現在の利用規約を読むと、私はここが非常に重要だと思っています。
Wikipediaの外部で、報酬を受け取ってWikipediaを編集するサービスを公に宣伝する場合、そのサービスで使用した、または使用するWikipediaアカウントを、第三者サービス上の公開投稿で開示することも求められています。
つまり、これはWikipedia内部だけの話ではありません。
たとえば外部のスキルマーケットなどで、
「Wikipediaの記事を作成します」
「Wikipediaを編集します」
「Wikipediaへの投稿を代行します」
というサービスを有料で提供し、実際にその出品者自身がWikipediaのアカウントを使って投稿や編集を行うのであれば、外部サービスでのアカウント開示についても利用規約を確認する必要があります。
これは私自身も、Wikipedia関連の仕事をする以上、軽く考えてはいけない部分だと思っています。
以前から私は「正直に開示するほうが不利ではないか」と感じていた
私は以前、
「Wikipediaの有償編集は開示すればできるのか?実際にやって感じた制度と運用のズレ」
という記事を書きました。
その記事でも書いたのですが、私はWikipediaの有償編集制度には、一つ大きなねじれがあるように感じています。
制度上は、
有償であることを開示する。
利益相反(Conflict of Interest/COI)に注意する。
必要であればトークページなどを利用する。
透明性を確保する。
という方向が求められています。
しかし、現実には自分から有償関係を明らかにした瞬間、
「この人は依頼を受けて編集している人だ」
と誰から見ても分かるようになります。
当然、編集内容も慎重に見られることになります。
一方で、もし誰かが有償であることを何も開示せず、普通の編集者のように振る舞った場合、その人が外部で報酬を受け取っていることはWikipediaの画面だけからは簡単には分からないでしょう。
ここに、
「正直に申告した人ほど目立ち、隠した人は発覚するまで普通の編集者に見える」
という制度上のねじれが生まれます。
私は以前の記事でも、この問題を「制度と運用のズレ」として書きました。
以前の記事「Wikipediaの有償編集は開示すればできるのか?実際にやって感じた制度と運用のズレ」
だからといって「では私も隠そう」とは思わない
ここが、今回一番書いておきたかったことです。
仮に、
有償であることを開示しなくても気づかれない可能性がある。
開示しないほうが余計な警戒を受けにくい。
開示しないほうが仕事を進めやすい。
そういう状況が現実にあったとしても、私はそのやり方を選びたくありません。
理由は非常に単純です。
Wikipediaを利用させてもらって仕事をする以上、その場所のルールを守るのは当然だと私は考えているからです。
私はWikipediaのすべての制度が完璧だとは思っていません。
むしろ以前の記事で書いたように、有償編集の開示制度には、
「正直に開示した人のほうが不利になりやすいのではないか」
と感じる部分があります。
私はそこについては今でも疑問を持っています。
しかし、
「ルールに問題があると思うこと」
と、
「だから自分だけ隠れてルールを破ってよいと考えること」
は全く別の話です。
制度に問題があるのであれば、問題点として指摘すればいい。
改善したほうがよいのであれば、改善を求めればいい。
しかし、自分に不利だからという理由で、開示すべきことをこっそり隠して利用するという選択は、私はしたくありません。
公式FAQの答えは、実は非常にシンプル
ウィキメディア財団の公式FAQには、かなり明快な説明があります。
「開示義務を避けたい場合はどうすればよいのか」という質問に対して、財団は、
開示義務を避けたいのであれば、編集の対価として報酬を受け取らないこと
という趣旨の回答をしています。
非常にシンプルです。
報酬を受け取ってWikipediaに寄稿する。
しかし報酬を受け取っていることは知られたくない。
この二つを同時に成立させるための「裏ルート」が公式に用意されているわけではありません。
有償で関わるのであれば開示する。
開示したくないのであれば、有償編集をしない。
少なくともウィキメディア財団のルールは、その方向ではっきりしています。
「開示したから何をしてもいい」という意味でもない
もう一つ重要なのは、
「有償であることを開示すれば、何でも編集していい」
という意味ではないことです。
ウィキメディア財団の公式FAQも、有償関係を開示したからといって、その寄稿が自動的に許されるわけではないと明記しています。
それぞれのWikipediaプロジェクトの方針やガイドライン、中立的観点、検証可能性などを守る必要があります。
つまり有償開示は「免罪符」ではありません。
私はここも重要だと思っています。
有償であることを正直に開示する。
そのうえで、依頼者に都合のいい広告記事を作るのではなく、Wikipediaの百科事典としてのルールに沿って編集する。
この二段階が必要なのだと思っています。
他のWikipedia作成代行サービスを「違反業者」と決めつけるつもりもない
同時に、私は今回の記事で、外部に存在するWikipedia記事作成代行サービスをまとめて、
「どうせみんな隠している」
と断定したいわけでもありません。
そこは事実と推測を分けなければいけません。
公開されている販売ページだけでは、
実際にどの案件がWikipediaへ投稿されたのか、
出品者自身が投稿したのか、
依頼者が投稿したのか、
どのWikipediaアカウントが使用されたのか、
利用者ページ・トークページ・編集要約などで有償関係を開示しているのか
までは分からないケースがあります。
したがって、
「アカウントの表示が見当たらなかったから、必ず非開示有償編集をしている」
とまで言うことはできません。
そこまで判断するのであれば、実際のWikipedia編集履歴などと照合する必要があります。
私は他人を根拠なく違反者扱いすることも、正しいやり方だとは思っていません。
ただ、
「有償のWikipedia記事作成・投稿代行という市場が現実に存在しており、販売実績のあるサービスもある」
という事実を見れば、
「実際の開示制度はどの程度機能しているのだろう」
という疑問は残ります。
これは今後、もっと調べてみてもよいテーマだと思っています。
正直にやる人が損をする制度なら、制度のほうを考えるべき
私は、
「ルールを破る人がいるかもしれないから、自分も破ればいい」
とは考えません。
もし本当に、
隠した人ほど得をする。
正直に開示した人ほど不利になる。
という状態が生まれているのであれば、問うべきなのは、
「自分も隠すべきか」
ではなく、
「なぜ正直に行動した人が不利になる制度になっているのか」
だと思っています。
透明性を求める制度である以上、本来は透明に行動した人が適切に扱われなければ、その制度は長期的には機能しにくくなります。
隠すことへのインセンティブを強める制度になってしまえば、本来守りたかったはずの透明性そのものが損なわれます。
私はこの点については、これからも疑問を持ち続けると思います。
それでも私は、開示する道を選ぶ
結局、私自身の答えは変わりません。
Wikipediaの有償案件を受けるのであれば、私は必要な開示を行います。
依頼者から、
「有償であることは書かないでほしい」
「依頼されたことは伏せてほしい」
と言われるのであれば、その条件では受けません。
仮に誰にも気づかれない可能性があったとしても、私はやりたくありません。
なぜなら、私自身があとから自分の編集履歴を振り返ったときに、
「これはルールを知った上で、隠してやった仕事だった」
と思いたくないからです。
Wikipediaを利用させてもらう。
そこで仕事をする。
そして報酬を得る。
そうである以上、Wikipedia側が定めている最低限のルールを守る。
私はそれでいいと思っています。
正直にやったことで多少不利になることがあったとしても、それはまた別の問題です。
その不公平さについては、不公平さとして堂々と指摘すればいい。
しかし、その不公平さを理由に、自分まで隠す側へ回る必要はありません。
私はこれからも、
「見つからなければいい」
ではなく、
「後から全部見られても説明できる仕事をする」
という考え方を大切にしたいと思っています。
それが、Wikipediaを仕事として扱う人間として、私が選びたい姿勢です。
参考資料
ウィキメディア財団(Wikimedia Foundation)「利用規約(Terms of Use)」――有償寄稿に関する雇用主・顧客・受益者・所属の開示、および外部サービスで有償編集を宣伝する場合のWikipediaアカウント開示について。
ウィキメディア財団「有償寄稿の開示に関するFAQ」――報酬を受ける場合の開示義務、開示を避けたい場合は編集報酬を受け取らないこと、有償関係を開示しても各プロジェクトの方針を守る必要があることなどを説明。
Meta-Wiki(ウィキメディア運動の調整サイト)「有償受託寄稿に関する代替開示方針」――各プロジェクトは代替方針を採用でき、採用されていない場合は利用規約の標準的な開示ルールが基準になることを説明しています。
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